小規模宅地等の特例

相続

小規模宅地等の特例

相続財産の評価額のうち、土地の評価額が占める比重が大きくなるということは多々あります。極端なケースでは、全財産の相続税評価額の9割以上が土地という場合もあります。そのため、生活を維持していく上で必要な土地であるにも関わらず、相続税の納税のために売却をして、相続税の納税資金を捻出しなければいけないというケースが出てきてしまいます。

そのようなことを少しでも減少させるために、一定の要件を満たす場合には、土地の相続税評価額を大きく減少させられる制度があります。それが、小規模宅地等の特例です。

居住用の特例

居住用の土地については、被相続人の配偶者が相続する場合や、同居していた相続人が相続する場合など、今後もその家に相続人が住み続けることが想定されるような場合においては、330㎡までの範囲で相続税の評価額を8割減少させることができます。

これは、実家を相続で引き継ぎ住み続けようとしたものの、土地を処分しなければ相続税の納税ができないということのないようにするための措置です。

また、近年では少々改正はありましたが、持ち家を持っていない相続人が実家の土地を相続する場合なども対象になる場合があります。

いずれも、実際には細かな要件がありますが、特に都会の一等地に実家がある場合などは、非常に大きな相続税の節税効果を生むことが可能となります。

事業用の特例(貸付事業を除く)

個人事業のために使っていた土地のうち貸付事業用(不動産の賃貸収入を得るためのもの)以外の土地については、被相続人の個人事業を引き継ぐ相続人がその土地を相続した場合は、400㎡までの範囲で相続税の評価額を8割減少させることができます。 これは、個人経営の事業を相続で引き継ごうとしたものの、土地を処分しなければ相続税の納税ができないということのないようにするための措置です。

貸付事業用の特例

個人事業用の土地のうち貸付事業用の土地については、被相続人の貸付事業を引き継ぐ相続人がその土地を相続した場合は、200㎡までの範囲で相続税の評価額を5割減少させることができます。

これは、事業用の特例と同様に、個人が経営していた貸付事業を相続で引き継ごうとしたものの、土地を処分しなければ相続税の納税ができないということのないようにするための措置です。ただし、貸付事業は通常の事業に比べ、不動産投資の色合いが強いことから、通常の事業に比べ減額幅は少なくなっています。

小規模宅地等の特例の適用

小規模宅地等の特例を適用するためには、通常の相続税の申告に追加して一定の書類を提出することが要件となっていますが、それ以外に、そもそも申告を行うことが要件の1つとなっています。そのため、小規模宅地等の特例を適用した場合には相続税が発生しないが、小規模宅地等の特例を適用しない場合には相続税が発生するというケースにおいては、相続税の納税額が0円であっても、相続税の申告を行う必要があります。